二階俊博幹事長の後援企業が“和歌山カジノ”隣接地3000坪を買っていた

「週刊文春」編集部

 和歌山県が名乗りを上げているカジノを含む統合型リゾート(IR)誘致を巡って、同県選出の二階俊博自民党幹事長の40年来の後援企業が、周辺の山林約3000坪を買っていたことが、「週刊文春」の取材でわかった。

歴代最長となった二階幹事長 ©共同通信社

 

 IRが誘致された場合の予定地となっているのが、和歌山市南部に位置する人工島、和歌山マリーナシティ。ここから橋を渡ってすぐの山林が当該土地で、車で約3分の距離にある。

 地元の不動産業者が解説する。

 

「この山林は、マリーナシティ開発のときに地元のディベロッパーも目をつけていたところです。夕焼けが美しく景観が綺麗なため業者としては手を付けたい場所ではあるのですが、開発許可が下りていないと聞いている。維持管理費や固定資産税のことを考えれば、坪単価1万円の約3000万円で買っても赤字になるので、なかなか買い手はつかないと思う。ただ、行政の開発許可が出るようなウルトラCがあれば、その価値は10倍にも跳ね上がるのではないか」

和通が所有する山林  ©文藝春秋

 

 目下、IR誘致を巡っては、横浜市、大阪府・市、長崎県らが名乗りを上げているが、二階幹事長の地元・和歌山県がここにきて有力とされている。和歌山県がIR誘致に成功すれば、当該土地の地価は跳ね上がる可能性がある。

 

 土地を取得しているのは、株式会社「和通」。社会福祉事業などを手掛ける和通グループの中核企業だ。3年前に亡くなった先代社長は、二階氏が和歌山県議時代から40年来の後援者であり、葬儀の際は二階氏自らが葬儀委員長を務めた。また、二階氏の政策秘書を務める長男は、和通グループ内の社会福祉法人の評議員を兼任しており、衆議院に兼業届けを提出している。

 

 和通グループとの関係や、土地取得の経緯について二階氏に尋ねると、書面で概ね以下のような回答があった。

 

「(和通所有の)土地については全く承知していない。(先代社長には)選挙の時に報道対応を長年にわたりご担当いただいた。長男は(和通グループの社会福祉法人の)当初は理事、その後、評議員(いずれも無報酬)です」

 

 先代の息子である和通の現社長に尋ねると、「先代が老人ホームを計画し、知人の不動産屋より(当該土地を)購入しました。市街化調整区域であるため、老人ホーム以外の用途の建物は建てられないと聞いています」と書面で回答した。

 

 IRを巡っては、二階派の秋元司衆院議員が逮捕されるなど、激しい誘致合戦が繰り広げられている。和歌山県IR事業者募集要項には、<来訪者をIR区域外に誘導するための仕組みを構築すること>とあり、和歌山県が誘致に成功した際には、周辺地域のためにどのような対応をとるのか、注目される。

逮捕された秋元議員

 

 10月15日(木)発売の「週刊文春」では、カジノ予定地のもう一つの隣接地域を所有する関西電力と二階氏の関係、9月に田中角栄氏を抜いて幹事長在任最長記録を更新した二階氏の最近の言動や、IR誘致を巡る動きなどを、6ページにわたって詳報している。

 

https://bunshun.jp/articles/-/40878