《独自》外務省、情報通信網刷新へ 中国企業を事実上排除 米国と足並み
2020/10/16 政治 政策
茂木敏充外相
外務省は、令和4年度までに在外公館も含めた情報通信網を刷新する方針を固めた。通信の高速化や業務の効率化を図ると同時に、複雑化するサイバー攻撃への対応力を強化する狙いで、新たな通信網では安全保障上のリスクが指摘される中国企業を事実上排除する。中国によるサイバー攻撃に懸念を募らせる米国と歩調を合わせる側面もある。政府関係者が16日、明らかにした。
外務省が刷新するのは、外交公電や各国とのやり取りで使用する通信回線、サーバー装置、パソコンをはじめとする端末機器などで、3年度に日本の本省、4年度に各国の在外公館を中心に実施する。3年度予算の概算要求には関連経費として120億円超を計上した。
新たな通信網に採用する機材やシステムは、価格だけでなく安全保障やサプライチェーン(供給網)上のリスクを重視する。政府が平成30年にまとめた調達指針に基づくもので、名指しは避けながらも中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)など情報漏洩(ろうえい)の危険性が指摘される中国企業を排除する。
政府関係者は「日本は特定の国や企業を排除する立場は取らないが、セキュリティーやサプライチェーンを重視すれば中国は自然と外れる」と語る。
米国は第5世代(5G)移動通信システムを使った外交施設間の通信の安全を確保する「クリーンパス」をはじめ、携帯電話アプリやクラウドサービスなどの分野で中国企業を排除する計画を提唱し、各国に協力を呼びかけている。茂木敏充外相は6日に都内で行ったポンペオ米国務長官との会談で、クリーンパスの趣旨に賛同する意向を伝えた。
外務省が着手する通信網の刷新は5Gの使用を前提としていないが、米国と協調してサイバーセキュリティーに取り組む姿勢を示す効果もある。茂木氏は16日の記者会見で「サイバーセキュリティーの確保は日本を含む国際社会にとって重要だ。米国との協力を引き続き強化していきたい」と語った。
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