黄砂対策の植林事業 一度も実施せず約60億円未活用 会計検査院

2020年10月9日 12時13分

 

中国から飛来する黄砂への対策などとして、国がおよそ60億円を拠出し、日中両国の団体が現地で植林を行う事業が一度も実施されず、多額の拠出金が活用されないままになっていることが会計検査院の調査で分かりました。確実性がないまま手続きが進められたためで、外務省は「実施に向け速やかに対処したい」としています。

国は、中国から飛来する黄砂への対策などとして植林事業を進めていて、このうち日中両国の団体が中国で行うものと、東南アジアなどの第三国で現地の団体とも協力して行うものの2つの事業に対し、東京にある財団法人「日中友好会館」を通じておよそ60億円が拠出されています。

 

会計検査院がこの事業について調べたところ、平成27年度の開始から4年以上たっているのに事業が1度も実施されておらず、およそ60億円の拠出金が活用されないままになっていることが分かりました。

 

外務省は「中国側も拠出金を負担することを前提としていたが、負担の具体的な方法などで中国側と協議がまとまらず、資金が拠出されなかったため」としていて、会計検査院は確実性がないまま手続きが進められたことが背景にあるとみています。

 

今後の対応について、外務省は「現在、中国政府と協議を行っており、実施に向け速やかに対処したい」と話しています。

 

 

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20201009/k10012655451000.html