菅首相、ベトナム首相と1時間20分会談…「両国の安全保障分野の大きな一歩だ」

読売新聞 / 2020年10月19日 22時13分

 【ハノイ=藤原健作、田中洋一郎】菅首相は19日、ベトナムのグエン・スアン・フック首相とハノイの首相府で会談し、医療物資のサプライチェーン(供給網)強化などを通じて経済連携を進めることで合意した。安全保障面の協力強化でも一致し、地域で影響力を強める中国をけん制する考えだ。

 

 菅首相にとっては就任後初の外遊で、外国首脳との対面での会談は初めて。会談は約1時間20分行われ、菅首相は「無限の可能性を秘めているベトナムとさらに関係を深め、一層発展させたい」と強調した。

 

 新型コロナウイルスの感染拡大では、中国に生産を依存するマスクや自動車関連部品などの供給が滞った。日本は供給網の多角化でリスク分散を図る方針で、ベトナムなど東南アジア諸国連合(ASEAN)側も生産拡大による雇用増加を進めたい意向だ。

 

 両首脳は、短期出張のビジネス関係者の往来再開でも一致した。シンガポール、韓国に続いて3例目となり、出国前と相手国への入国時に検査を受けることなどを条件に、入国後の14日間の待機を免除する。今後、両国で再開時期を決める。

 

 安保関連では、防衛装備品の輸出などを可能とする防衛装備品・技術移転協定について実質合意に達した。菅首相は会談後の共同記者発表で「両国の安全保障分野の大きな一歩だ」と強調した。フック氏も「日本が地域と世界の平和、安定、繁栄に積極的に貢献することを歓迎する」と述べた。

 

 両首脳は南シナ海で軍事拠点化を進める中国を念頭に、「自由で開かれたインド太平洋」構想の実現に向けた連携も確認した。

 

 菅首相は会談後、ASEAN外交に関する政策スピーチを行い、「南シナ海をめぐる問題の全ての当事国が、力や威圧によらず、国際法に基づく紛争の平和的な解決に向け努力することが重要だ」と述べた。

 

https://news.infoseek.co.jp/article/20201019_yol_oyt1t50206/